哲学者の名言集|ソクラテスからウィトゲンシュタインまで、生き方を問い直す言葉

Emoquote-心に響く名言集




どう生きればいいのか。自分とは何なのか。答えの出ない問いに行き当たったとき、同じ問いを何百年、何千年も前に考え抜いた人たちがいます。それが哲学者です。

哲学というと難しく聞こえますが、有名な哲学者の言葉の多くは、驚くほど短く、日常の悩みにも通じています。ここでは、古代中国とギリシアから20世紀まで、時代順に哲学者の名言を紹介します。原文と出典を添え、それぞれの言葉が生まれた背景を解説しました。日本語訳は、特に断りのないものは筆者によるものです。

目次

哲学者の名言集

孔子の名言

「之を知るを之を知ると為し、知らざるを知らずと為す。是れ知るなり。」
-孔子

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原文:子曰:「由!誨女知之乎?知之為知之,不知為不知,是知也。」(『論語』為政篇)

孔子(紀元前551年ごろ~前479年)が、弟子の子路に語った言葉です。知っていることは知っているとし、知らないことは知らないとする。それこそが本当に知るということだ、という意味です。

知ったかぶりをせず、自分の知識の限界を正直に認めること。次に紹介するソクラテスの「無知の自覚」と、よく並べて語られる言葉です。孔子の名言の記事もあわせてどうぞ。

ソクラテスの名言

「吟味されない生は、人間にとって生きるに値しない。」
-ソクラテス

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原文:ὁ δὲ ἀνεξέταστος βίος οὐ βιωτὸς ἀνθρώπῳ(プラトン『ソクラテスの弁明』38a)

ソクラテス(紀元前469年ごろ~前399年)は、自分では著作を残さず、その言葉は主に弟子プラトンの著作を通じて伝わっています。この言葉は、死刑を求められた裁判で、ソクラテスが追放されて黙って生きるより、問い続ける生き方を選ぶと語った場面にあります。

「吟味」とは、自分の生き方や考えを問い直し、確かめることです。忙しさに流されて日々を過ごしているとき、立ち止まって考える時間の大切さを思い出させてくれます。ソクラテスの名言、プラトンの名言の記事もあわせてどうぞ。

老子の名言

「人を知る者は智なり、自ら知る者は明なり。人に勝つ者は力有り、自ら勝つ者は強し。」
-老子

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原文:知人者智,自知者明。勝人者有力,自勝者強。(『老子』第33章)

他人を理解できる人は知恵がある人だが、自分自身を理解できる人こそ本当に聡明な人だ。他人に勝つ人は力がある人だが、自分に打ち勝つ人こそ本当に強い人だ、という意味です。

『老子』は、道家の祖とされる老子の作と伝えられる書物で、成立の時期や作者については諸説あります。外に向かう力より、内に向かう力を重んじる考え方がよく表れています。老子の名言の記事もあわせてどうぞ。

アリストテレスの名言

「人間は、本性上ポリス的動物である。」
-アリストテレス

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原文:ὁ ἄνθρωπος φύσει πολιτικὸν ζῷον(『政治学』1253a)

アリストテレス(紀元前384年~前322年)は、プラトンの弟子で、論理学から政治学、生物学まで幅広い学問の基礎を築いた哲学者です。「ポリス」は古代ギリシアの都市国家のことで、人間は本来、共同体の中で他者とともに生きる存在だ、という意味です。

よく「人間は社会的動物である」とも訳されます。アリストテレスは続けて、共同体なしで生きられるものは獣か神だ、とも述べています。アリストテレスの名言の記事もあわせてどうぞ。

エピクテトスの名言

「人を乱すのは、物事そのものではなく、物事についての考えである。」
-エピクテトス

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英訳原文:Men are disturbed, not by things, but by the principles and notions which they form concerning things.(『提要』第5章)

エピクテトス(55年ごろ~135年ごろ)は、奴隷の身分から哲学者になった、古代ローマのストア派の哲学者です。この言葉は、弟子のアリアノスが師の教えをまとめた『提要』に収められています。

つらい出来事そのものより、それをどう受け止めるかが心を乱している。このあと、死そのものが恐ろしいのではなく、死は恐ろしいという考えが恐ろしいのだ、という例が続きます。現代の心理学にも影響を与えた考え方です。

マルクス・アウレリウスの名言

「善い人とはどうあるべきかを論じるのは、もうやめよ。善い人になれ。」
-マルクス・アウレリウス

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英訳原文:No longer talk at all about the kind of man that a good man ought to be, but be such.(『自省録』第10巻16節)

エピクテトスの影響を受けたローマ皇帝マルクス・アウレリウス(121~180年)が、自分自身のために書き留めた『自省録』の言葉です。

哲学は、考えて語るためだけのものではなく、生きるためのものだ。この言葉は、哲学を学ぶ人自身にも向けられています。

デカルトの名言

「私は考える、ゆえに私は存在する。」
-デカルト

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原文:je pense, donc je suis(『方法序説』第4部)

「我思う、ゆえに我あり」の訳で知られる、近代哲学の出発点とされる言葉です。デカルト(1596~1650年)は、疑えるものはすべて疑ってみるという方法をとり、その結果、疑っている自分自身が存在することだけは疑えない、という結論にたどり着きました。

ラテン語の「コギト・エルゴ・スム(cogito, ergo sum)」という形でも有名ですが、最初に発表されたのはフランス語で書かれた『方法序説』でした。デカルトの名言の記事もあわせてどうぞ。

パスカルの名言

「人間は、自然のなかで最も弱い一本の葦にすぎない。しかしそれは、考える葦である。」
-パスカル

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原文:L’homme n’est qu’un roseau, le plus faible de la nature; mais c’est un roseau pensant.(『パンセ』)

パスカル(1623~1662年)は、数学者・物理学者としても知られるフランスの思想家です。『パンセ』は、彼の死後に遺された断章をまとめた書物です。

人間は、ひと吹きの風やひとしずくの水にも殺されてしまう、弱い存在だ。けれど、自分が死ぬことを知っているという点で、何も知らない宇宙よりも尊い。この言葉は、人間の弱さと偉大さを同時に言い表しています。パスカルの名言の記事もあわせてどうぞ。

カントの名言

「二つのものが、考えれば考えるほど、つねに新たな、そしていや増す感嘆と畏敬の念で心を満たす。わが上なる星空と、わが内なる道徳法則である。」
-カント

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原文:Zwei Dinge erfüllen das Gemüth mit immer neuer und zunehmender Bewunderung und Ehrfurcht, je öfter und anhaltender sich das Nachdenken damit beschäftigt: der bestirnte Himmel über mir und das moralische Gesetz in mir.(『実践理性批判』結び)

ドイツの哲学者カント(1724~1804年)の代表作の一つ、『実践理性批判』の結びの一節です。果てしなく広がる星空は、宇宙の中での人間の小ささを感じさせる。一方、自分の内にある道徳法則は、人間の尊さを感じさせる。その二つへの驚きを語った言葉です。

空を見上げたとき、自分の小ささと、それでも正しくあろうとする心の両方を感じる。そんな経験を、見事に言葉にしています。カントの名言の記事もあわせてどうぞ。

ニーチェの名言

「私を殺さないものは、私をより強くする。」
-ニーチェ

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原文:Was mich nicht umbringt, macht mich stärker.(『偶像の黄昏』「箴言と矢」8)

ドイツの哲学者ニーチェ(1844~1900年)が、精神の病に倒れる直前の1888年に書いた『偶像の黄昏』の短い箴言の一つです。

苦しい経験は、乗り越えれば自分を強くする。今では世界中で使われる言い回しになりましたが、もとは病や孤独に苦しみながら思索を続けたニーチェ自身の実感から生まれた言葉です。ニーチェの名言の記事もあわせてどうぞ。

ウィトゲンシュタインの名言

「語りえぬものについては、沈黙しなければならない。」
-ウィトゲンシュタイン

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原文:Wovon man nicht sprechen kann, darüber muss man schweigen.(『論理哲学論考』7)

オーストリア出身の哲学者ウィトゲンシュタイン(1889~1951年)が、生前に出版した唯一の哲学書『論理哲学論考』の最後の命題です。

言葉で意味のある形で語れることには限界がある。その限界を超えたものについて、あいまいな言葉で語ろうとするのではなく、黙るべきだ、という意味です。ただしウィトゲンシュタインは、語りえないものが価値のないものだと言ったのではありません。倫理や人生の意味のように、語りえないものこそ大切だと考えていたとも読まれています。

哲学者の名言に共通する「自分を問い直す」という姿勢

時代も国も違う哲学者たちの言葉を並べてみると、共通して「自分自身」に目を向けていることに気づきます。知らないことを知らないと認める孔子とソクラテス。人に勝つより自分に勝つことを重んじた老子。出来事ではなく自分の考えに目を向けたエピクテトスとマルクス・アウレリウス。疑っている自分から出発したデカルト。

哲学の言葉が今も読まれるのは、答えを教えてくれるからではなく、自分で考えるための問いを渡してくれるからでしょう。気になった哲学者がいれば、ぜひ個別の名言記事や、その人の著作にも触れてみてください。

出典・参考資料

各名言は、原典の原文(ギリシア語・フランス語・ドイツ語・漢文)または公開されている英訳の本文で照合し、出典の巻・章・節などを付しました。日本語訳と書き下し文は筆者によるものです。ソクラテスとエピクテトスは自身の著作を残しておらず、それぞれプラトン、アリアノスの著作に記された言葉です。

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