星の王子さまの名言集|キツネとバラが教えてくれた「大切なもの」の見つけ方

Emoquote-心に響く名言集




子どものころに読んだはずなのに、大人になって読み返すと、まるで別の本のように胸に刺さる。『星の王子さま』は、そんな読まれ方をしてきた物語です。

作者のアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは、郵便飛行の操縦士でもあったフランスの作家です。この作品は1943年にニューヨークで出版され、翌1944年、作者は偵察飛行に出たまま消息を絶ちました。砂漠に不時着した「ぼく」が、小さな星から来た王子さまと出会う物語には、飛行士としての体験も色濃く映っています。

ここでは、キツネやバラ、王子さまたちの印象的な言葉を、物語の順に紹介します。日本語はフランス語の原文から筆者が訳したもので、原文も添えています。

目次

星の王子さまの名言集

サン=テグジュペリの名言

「おとなは誰でも、はじめは子どもだった。」
-サン=テグジュペリ

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原文:Toutes les grandes personnes ont d’abord été des enfants.(献辞)

物語が始まる前の献辞にある一文です。作者はこの本を友人のレオン・ヴェルトにささげ、「おとなに本をささげること」をわびたうえで、この言葉を書いています。

物語全体を通して描かれる「おとな」と「子ども」の違いは、年齢の違いではありません。誰もが一度は持っていた見方を、どこかで忘れてしまったのではないか、という問いかけです。

ぼく(飛行士)の名言

「おとなたちは、自分たちだけでは何ひとつわかろうとしない。」
-ぼく(飛行士)

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原文:Les grandes personnes ne comprennent jamais rien toutes seules(第1章)

子どものころの「ぼく」が、ゾウを飲み込んだウワバミ(大蛇)の絵を描いたのに、おとなたちは誰もが「帽子の絵」だと思った、という場面の言葉です。

見えているものだけで判断し、その奥にあるものを想像しようとしない。物語の冒頭から、この作品が大切にしている「見えないものを見る」というテーマが示されています。

王子さまの名言

「あの花のことばではなく、していることで判断すべきだったんだ。」
-王子さま

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原文:J’aurais dû la juger sur les actes et non sur les mots.(第8章)

王子さまが、自分の星に残してきたバラについて「ぼく」に打ち明ける言葉です。気位が高く、わがままを言うバラに振り回された王子さまは、星を出て行きました。

けれど、バラは王子さまの星をいい香りで満たし、明るくしてくれていた。その行いを見ずに、言葉だけを受け取ってしまった後悔が語られています。

王子さまの名言

「ぼくは若すぎて、あの花を愛するすべを知らなかった。」
-王子さま

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原文:j’étais trop jeune pour savoir l’aimer.(第8章)

前の言葉と同じ場面の結びの一文です。「愛していなかった」のではなく、「愛し方を知らなかった」。大切な人とすれ違ったことのある読者ほど、心に残る一節ではないでしょうか。

王様の名言

「他人を裁くより、自分を裁くほうがずっと難しい。」
-王様

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原文:Il est bien plus difficile de se juger soi-même que de juger autrui.(第10章)

王子さまが最初に訪れた星に住む、すべてを支配しているつもりの王様の言葉です。家来もいない星で、王様は王子さまを「法務大臣」に任命しようとし、裁く相手がいないなら自分自身を裁けばよい、と言います。

少しこっけいな王様の口から、意外なほど本質的な言葉が出てくるのも、この作品の魅力です。

王子さまの名言

「きれいだから、ほんとうに役に立つんだ。」
-王子さま

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原文:C’est véritablement utile puisque c’est joli.(第14章)

1分ごとに街灯をつけたり消したりしている「点灯夫」の星で、王子さまが思う言葉です。街灯をともすと、星や花がひとつ生まれたようだ、だからこれは美しい仕事で、美しいからこそ役に立つ、と王子さまは考えます。

役に立つから価値がある、ではなく、美しいから価値がある。数字や効率で物事を測りがちなおとなへの、静かな反論にも読めます。

ヘビの名言

「人間たちのところにいても、ひとりぼっちなのさ。」
-ヘビ

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原文:On est seul aussi chez les hommes(第17章)

地球の砂漠に降り立った王子さまが、最初に出会ったヘビとの会話です。「砂漠はちょっとさびしいね」と言う王子さまに、ヘビはこう答えます。

人に囲まれていても孤独を感じることがある。短いやりとりですが、後にキツネが語る「絆」の話へとつながっていく言葉です。

キツネの名言

「きみがぼくを飼いならしたら、ぼくたちはお互いが必要になるんだ。」
-キツネ

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原文:Si tu m’apprivoises, nous aurons besoin l’un de l’autre.(第21章)

ここから第21章、キツネとの出会いの場面です。「飼いならす」と訳した apprivoiser を、キツネ自身は「絆をつくること」だと説明します。

今のままでは、きみはぼくにとって大勢いる男の子のひとりにすぎないし、ぼくもきみにとってはただのキツネだ。でも絆ができれば、お互いがこの世でたったひとりの存在になる。キツネはそう言って、王子さまに自分を飼いならしてほしいと頼みます。

キツネの名言

「自分が飼いならしたものしか、ほんとうに知ることはできないんだよ。」
-キツネ

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原文:On ne connaît que les choses que l’on apprivoise.(第21章)

キツネはこの後、人間たちはもう何かを知るための時間を持っていない、店で出来上がったものを買うけれど友だちを売っている店はないから、人間には友だちがいないのだ、と続けます。

情報としてたくさん知っていることと、時間をかけて関わり、ほんとうに知っていることは違う。人間関係にも、仕事や趣味にも当てはまる言葉です。

王子さまの名言

「きみたちは美しいけど、からっぽだ。」
-王子さま

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原文:Vous êtes belles, mais vous êtes vides.(第21章)

王子さまは地球で、自分の星のバラとそっくりなバラが5000本も咲く庭を見つけ、自分の花はありふれたものだったと泣いていました。キツネと絆を結んだ後、王子さまはもう一度その庭を訪れ、バラたちにこう言います。

「きみたちのためには死ねない」と続けたうえで、王子さまは、水をやり、覆いをかけ、不満も自慢も聞いてやった自分のバラは、ほかの何千本のバラより大切なのだと語ります。見た目は同じでも、関わった時間が一輪のバラを特別なものにしている、という気づきの場面です。

キツネの名言

「心で見なければ、よく見えない。いちばん大切なことは、目には見えないんだ。」
-キツネ

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原文:On ne voit bien qu’avec le cœur. L’essentiel est invisible pour les yeux.(第21章)

別れのときにキツネが王子さまに贈った「秘密」です。『星の王子さま』でいちばん有名な言葉といってよいでしょう。王子さまは忘れないように、この言葉を繰り返します。

目に見えるものは比べることができます。けれど、誰かと過ごした時間や、誰かを大切に思う気持ちは、外からは見えません。この言葉は、その見えない部分こそが本質だと教えています。

キツネの名言

「きみがバラのために費やした時間こそが、きみのバラをそんなに大切なものにしているんだ。」
-キツネ

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原文:C’est le temps que tu as perdu pour ta rose qui fait ta rose si importante.(第21章)

「費やした」と訳した部分は、原文では perdu(失った、むだにした)という言葉が使われています。一見むだに思える時間こそが、相手を特別な存在にする、というニュアンスです。

効率よく過ごすことが求められる毎日の中で、「むだにした時間」の意味を考え直させてくれる言葉です。

キツネの名言

「きみは、自分が飼いならしたものに対して、いつまでも責任があるんだ。」
-キツネ

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原文:Tu deviens responsable pour toujours de ce que tu as apprivoisé.(第21章)

キツネの言葉はこの後「きみは、きみのバラに責任がある」と続きます。王子さまはこの言葉を胸に、やがて自分の星のバラのもとへ帰ることを決めます。

絆を結ぶことは、うれしいことばかりではなく、責任を引き受けることでもある。恋愛だけでなく、家族や友人、仕事で関わる人にも置き換えられる言葉です。

王子さまの名言

「砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しているからだよ。」
-王子さま

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原文:Ce qui embellit le désert, c’est qu’il cache un puits quelque part(第24章)

飛行機の修理が進まず、水も尽きた「ぼく」と王子さまが、井戸を探して砂漠を歩く場面の言葉です。「ぼく」はこの言葉を聞いて、子どものころに住んでいた古い家に宝物が埋められているという言い伝えがあったことを思い出します。

見えない場所に大切なものがあると信じられるから、目の前の景色まで美しく見える。つらい状況の中でも、希望の持ち方を教えてくれる一節です。

王子さまの名言

「でも、目は何も見えていないんだ。心で探さなくちゃいけないんだよ。」
-王子さま

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原文:Mais les yeux sont aveugles. Il faut chercher avec le cœur.(第25章)

井戸を見つけた後の会話です。王子さまは、地球の人たちは一つの庭で5000本のバラを育てているのに、探しているものを見つけられない、それは一輪のバラやほんの少しの水の中にあるかもしれないのに、と話し、この言葉で結びます。

キツネから教わった「心で見る」ことを、王子さま自身の言葉で語り直した場面です。

「いちばん大切なことは、目には見えない」は、なぜ訳によって言い回しが違うのか

『星の王子さま』の名言を調べると、同じ場面の言葉でも本によって言い回しがかなり違うことに気づきます。日本では、1953年に出版された内藤濯(ないとう・あろう)の翻訳が長く読まれてきましたが、2005年に日本での著作権の保護期間が終わると、複数の翻訳者による新しい訳が相次いで出版されました。

訳が分かれやすい言葉の代表が、キツネの章に何度も出てくる apprivoiser です。本来は野生の動物を人に慣れさせる、という意味の動詞で、「飼いならす」「なつかせる」「仲よくなる」など、訳者によって選ぶ言葉が違います。キツネ自身がこの言葉を「絆をつくること」と説明しているように、物語の中では、時間をかけて特別な関係を結ぶことを指しています。

この記事の日本語は、フランス語の原文から筆者が訳したものです。気になった言葉があれば、原文と、いくつかの翻訳を読み比べてみてください。同じ一文から、それぞれの訳者が何を大切に受け取ったのかが見えてきます。

出典・参考資料

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま(Le Petit Prince)』1943年。原文はフランス語版の本文で照合し、章番号を付しました。日本語訳は筆者によるものです。




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