毎日机に向かっている。練習も休まず続けている。それなのに、思うような結果が出ない。努力しているときにいちばんつらいのは、努力そのものより、「これを続けて意味があるのだろうか」という迷いかもしれません。
ここでは、「努力は必ず報われる」と言い切る言葉よりも、結果が見えない時期をどう歩き続けるかを語った言葉を選びました。2000年以上前の中国の思想家から、エジソン、ベートーヴェン、夏目漱石まで、努力を続けた人たちの言葉を、出典と意味つきで紹介します。
努力の名言集
「騏驥も一躍にして十歩なること能わず。駑馬も十駕すれば、功は舎めざるに在り。」
-荀子
\ この名言をコピーしてシェア! /
原文:騏驥一躍,不能十步;駑馬十駕,功在不舍。(『荀子』勧学篇)
荀子は、中国の戦国時代の思想家です。どんな名馬でも、ひと跳びで十歩の距離を進むことはできない。足の遅い馬でも、十日間車を引き続ければ名馬に追いつける。その成果は、やめなかったことにある、という意味です。
才能のある人と比べて落ち込んだときに、思い出したい言葉です。差をつけるのは一瞬の跳躍ではなく、やめずに続けた日数だということです。
「之を鍥みて舎めば、朽木も折れず。鍥みて舎めざれば、金石も鏤むべし。」
-荀子
\ この名言をコピーしてシェア! /
原文:鍥而舍之,朽木不折;鍥而不舍,金石可鏤。(『荀子』勧学篇)
刻むのを途中でやめてしまえば、腐った木さえ折れない。刻み続けてやめなければ、金属や石にも彫り込むことができる、という意味です。
硬いものに挑むときほど、手を止めないことが大切だと教えています。前の言葉のすぐ後に続く一節です。
「跬歩を積まざれば、以て千里に至る無し。小流を積まざれば、以て江海を成す無し。」
-荀子
\ この名言をコピーしてシェア! /
原文:故不積跬步,無以至千里;不積小流,無以成江海。(『荀子』勧学篇)
「跬歩(きほ)」は、片足を一歩踏み出したくらいの、ごくわずかな歩みのことです。小さな一歩を積み重ねなければ千里の道の先へは行けないし、小さな流れが集まらなければ大河や海はできない、という意味です。
今日の一歩がどれほど小さく見えても、それがなければ遠くへは行けない。積み重ねの価値を、道と水のたとえで表した言葉です。
「合抱の木も毫末より生じ、九層の台も累土より起こり、千里の行も足下より始まる。」
-老子
\ この名言をコピーしてシェア! /
原文:合抱之木,生於毫末;九層之臺,起於累土;千里之行,始於足下。(『老子』第64章)
両腕で抱えるほどの大木も、毛先ほどの小さな芽から育つ。九層もの高い建物も、土を一盛りずつ積むことから始まる。千里の旅も、足元の一歩から始まる、という意味です。
目標が大きすぎて、何から手をつければよいか分からないときに、最初の一歩に目を向けさせてくれる言葉です。老子の名言の記事もあわせてどうぞ。
「之を知る者は之を好む者に如かず。之を好む者は之を楽しむ者に如かず。」
-孔子
\ この名言をコピーしてシェア! /
原文:子曰:「知之者不如好之者,好之者不如樂之者。」(『論語』雍也篇)
物事を知っている人は、それを好きな人にはかなわない。好きな人は、それを楽しんでいる人にはかなわない、という意味です。
歯を食いしばってがんばることだけが努力ではありません。長く続けられる人は、どこかで楽しみを見つけている。努力の続け方について、別の角度から気づかせてくれる言葉です。孔子の名言の記事でも、ほかの言葉を紹介しています。
「稽古は強かれ、情識はなかれ」
-世阿弥
\ この名言をコピーしてシェア! /
出典:世阿弥『風姿花伝』序
室町時代に能を大成した世阿弥の言葉です。稽古は厳しく、たゆまず行いなさい。ただし「情識」、つまり自分勝手な思い込みや慢心は持ってはならない、という意味です。
努力を重ねるほど、自分のやり方に固執しやすくなるもの。がんばることと、素直に学び続けることを両立させなさい、という教えです。
「天才とは、1パーセントのひらめきと、99パーセントの汗である。」
-エジソン
\ この名言をコピーしてシェア! /
英語原文:Genius is one per cent inspiration, ninety-nine per cent perspiration.(出典:M・A・ロザノフの回想記事、Harper’s Monthly Magazine、1932年)
発明王エジソンの言葉として、世界中で最もよく知られた努力の名言のひとつです。エジソンのもとで働いた化学者ロザノフが1932年に発表した記事に、エジソン本人が「私が言ったことを人が繰り返すのを聞いたことがあるだろう」と前置きして、この言葉を口にしたと記されています。
一方で、1898年の雑誌には「2パーセントが才能で、98パーセントが努力だ」という形でエジソンの言葉が紹介されており、数字や言い回しは時期によって揺れがあったようです。いずれにしても、ひらめきよりも、それを形にするための地道な作業が大半を占める、という実感から生まれた言葉です。エジソンの名言の記事もあわせてどうぞ。
「忍耐。今こそ、それを私の導き手に選ばなければならない。」
-ベートーヴェン
\ この名言をコピーしてシェア! /
原文:Geduld – so heisst es, sie muß ich nun zur Führerin wählen(出典:「ハイリゲンシュタットの遺書」1802年10月6日)
耳が聞こえなくなっていく絶望の中で、31歳のベートーヴェンが弟たちに宛てて書いた文書の一節です。回復の見込みがない中で、自分が頼るべきものは「忍耐」だと書きました。
この後、ベートーヴェンは交響曲第3番「英雄」をはじめとする大作を次々と生み出していきます。努力には、前へ進む力だけでなく、耐えて待つ力も含まれていることを教えてくれる言葉です。
「ただ牛のように図々しく進んで行くのが大事です。」
-夏目漱石
\ この名言をコピーしてシェア! /
出典:芥川龍之介・久米正雄宛の手紙(大正5年8月21日)
亡くなる数か月前の夏目漱石が、まだ20代だった芥川龍之介と久米正雄に送った手紙の一節です。器用に速く走ろうとするより、牛のように、周りを気にせず図太く進み続けることが大切だと伝えています。
「あせっては不可せん。頭を悪くしては不可せん。根気づくでお出でなさい。」
-夏目漱石
\ この名言をコピーしてシェア! /
出典:芥川龍之介・久米正雄宛の手紙(大正5年8月24日)
前の手紙の3日後に、漱石が再び二人に書き送った言葉です。「不可せん」は「いけません」と読みます。
焦らないこと、自分を追い詰めすぎないこと、そして根気よく続けること。努力を長く続けるための心構えが、やさしい口調でまとめられています。
「患難は忍耐を生み出し、忍耐は錬達を生み出し、錬達は希望を生み出す」
-パウロ
\ この名言をコピーしてシェア! /
出典:新約聖書 ローマ人への手紙5章3~4節(口語訳、抜粋)
使徒パウロの手紙の一節です。「錬達」は、試されて確かなものになった品性のことです。苦しみは忍耐を生み、忍耐は人を鍛え、鍛えられた人はやがて希望を持てるようになる、という意味です。
つらい時期の努力は、結果として表れる前に、まず自分自身を変えていく。その変化が希望につながっていく、という順序を示した言葉です。
「朝、起きるのがつらいときには、こう考えよ。『私は、人間としての仕事をするために起きるのだ』と。」
-マルクス・アウレリウス
\ この名言をコピーしてシェア! /
英訳原文:In the morning when thou risest unwillingly, let this thought be present—I am rising to the work of a human being.(第5巻1節)
ローマ皇帝マルクス・アウレリウスが、自分自身に向けて書き留めた言葉です。皇帝でさえ、布団から出たくない朝があった。そんなとき彼は、自分は何のために起きるのかを思い出すことで、一日を始めていました。
努力は、特別な決意の日だけでなく、気が進まない普通の朝をどう始めるかの積み重ねでもあります。
「努力は必ず報われる」と言い切れないときに
努力の名言というと、「努力は必ず報われる」という力強い言葉を思い浮かべる人も多いでしょう。EmoQuotesでも王貞治さんの記事でその言葉を取り上げています。前を向く力が欲しいときには、こうした言葉が背中を押してくれます。
一方で、今回紹介した言葉の多くは、結果について何も約束していません。荀子は「やめなかったこと」に成果の理由を見て、老子は「最初の一歩」に目を向け、ベートーヴェンは「忍耐」を、漱石は「根気」を選びました。見えているのは結果ではなく、今日の自分がどう歩くかです。
結果が出ない時期は、努力が足りないからとは限りません。千里の道のまだ途中にいるだけかもしれない。そう思えたとき、今日の一歩をもう一度踏み出す力が戻ってくるはずです。
出典・参考資料
『荀子』勧学篇、『老子』第64章、『論語』雍也篇は、各機関・サイトが公開する原文で照合し、書き下しと意味は筆者がまとめました。世阿弥の言葉は『風姿花伝』の原文、夏目漱石の手紙は『漱石全集』を底本とする翻刻、ベートーヴェンの言葉はドイツ語原文、聖書は口語訳本文、マルクス・アウレリウスの言葉はジョージ・ロングの英訳で照合しています。エジソンの言葉の出典については、Quote Investigatorの調査を参照しました。
関連記事
【積み重ね】イチローの努力や失敗を恐れず継続する為の語録・名言集
【負けないよ】王貞治の名言集【努力は必ず報われる】
エジソンの名言
二宮尊徳(二宮金次郎)の名言


コメント